武士の治世の時代に生み出された仙台箪笥は現代にいたるまで生活様式の変化の波を受けながらも、時代を超えて愛されてきた。
もともとは貴重品を収納するための金庫代わりの意味合いが強かったが明治になると庶民の間でも人気が高まり、箪笥にも美しい漆塗りや豪華な金具といった装飾が施されるようになり、独自の発展を遂げた。高い実用性に加えて芸術性を併せ持った仙台箪笥は脈々と受け伝がれ、重厚な姿を今に伝えている。
仙台箪笥はその特徴である「指物」「塗り」「金具」の3つの匠の技が一体となって創り出される工芸品である。
箪笥に長年の実用に耐える頑強性や機能性を持たせるため、素材となる木の性質を見抜き、木取りから組み立て、仕上げまでを手掛ける「指物師」。指物に工芸的な美しさを持たせるため、漆を塗っては磨くという作業を根気よく繰り返し、木地表面に艶やかな輝きを作りだす「塗師」。漆の輝きの上に仙台箪笥ならではの華やかな表情をくわえる飾り金具を、鉄の板一打一打を丁寧に打ちつけ精緻な文様をつくりあげる「金具師」。
このそれぞれに分野の異なる職人の手仕事が高度な次元で融合して生み出された逸品こそ仙台箪笥である。まさしく仙台の工芸技術を継承してきた伝統工芸品である。
|
|
|
|
|